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汎インターネットピクニック日記

id:rikoの個人の日記です(✿╹◡╹) まじめなのは http://blog.nakagawariko.com こちら

うちのだしの話

だしは料理の基本と言われるけれど、総じて面倒くさいものとして取り扱われているのが、なんか面白い。基本という概念が形骸化してる。

私も、雑にお味噌汁作るときは「ほんだし」を使うし、雑にうどんとか煮物作るときは「ヒガシマルうどんスープ」とか「創味のつゆ」を使う。それでいいと思う。

だいたい、だしは基本とか言って「基本」のハードル上げたら、いつまでたっても料理できない。昔、薬膳を習ったときも、教室ではスープは粉末の鶏ガラスープ使っていて「ちゃんとお料理ができるようになってから鶏ガラでスープを取ればいいのよ」って教わった。実行するのが難しい基本は、本当の基本ではないんじゃないかな。

ほんだし」は、おそらく日本人が最大公約数的においしいと感じるかつおだし味がいい感じに再現されてて、チェーン系の定食屋の和食を普通においしく食べれるなら別にこれで何も困ることないと思う。調味料メーカーって、だいたいすごい良い舌の持ち主が寄ってたかって最大公約数的においしい味を追求してる世界なので、量産型だしの素的なものは全体的に侮れない。いつもすごいなって思う。

味の素 ほんだし(箱) 450g

味の素 ほんだし(箱) 450g

ヒガシマルうどんスープ」と「創味のつゆ」は、関西の雑な家庭料理のベースなので、だいたいこれで何を作っても知ってる味になる。

ヒガシマル うどんスープ 8g×20袋

ヒガシマル うどんスープ 8g×20袋

創味 つゆ 1L

創味 つゆ 1L

ポテチのコンソメパンチとか、カールのうすあじとか、みんなも知ってる味ってあると思う。それはそれで懐かしいおいしい味。でも、家でだし取ると、しみじみおいしいなーという気持ちになるし、ポトフとかカレーとか作るときも和風のだしをベースにすると、そこに肉のだしが加わってちょっと麻薬的な感じになる。生きててよかったぐらいのレベル。異なるうまみ成分の組み合わせが麻薬的なのは豚骨魚介ラーメンがいい例で、できれば肉と魚のエキスは混ぜていきたい。

で、だしの取り方の話をする。私が日常的に料理するようになったのは20代も後半になってからで、実家にいたときは炊事にはほとんどノータッチだった。なのでだしの取り方は親には教わってない。最初にだしを取ったのは、居酒屋の手伝いをしていたときで、そこは、きちんとした店で修行した店主がきちんとした料理を出す店だったから、昆布と鰹節できちんとしただしを取っていた。

でも、マネして同じように家でだしを取っても、なんだかぼんやりした感じで知らない味がする。家でご飯食べるときは家のご飯の味であってほしいと思う。「おふくろの味」っていうけど、自分でつくるご飯から自分の知ってる味がしないと気持ち悪いしさみしい。

そこで、子どものころのことを思い出すと、そもそも、うちでだしを取るとき、鰹節は使ってなかった。だいたい、いりこと昆布だった。さらに記憶を手繰ると、小さいころ、いりこの頭とはらわたを取るお手伝いをしていたような気がする。その記憶を頼みに、いりこを買ってきて、頭とはらわたを取って煮出してみると、いりこ特有の苦みのない、強い旨みだけが凝縮された「あの味」が再現された。これだよこれ。

思うに、同じ魚のだしでも、かつお=赤身の魚、いりこ=青身の魚であり、味の系統が相当違う気がする。明石で育った自分が食べなれてるのは青魚と白身の魚で、かつおやマグロはほとんど食卓に上らなかった。だからいりこだしが口になじむんだろうと思う。外食ならふんだんにかつおだしの効いたものを「おいしいなあ」って食べられるけど、家でそれじゃダメなのだ。

そういえば、私の実家は昆布とかいりことか鰹節、要は、だしの材料を売るお店*1をやっていた(すでに廃業したけど)。だから、使う昆布とかいりこ自体のクオリティもそれなりのものだったとは思うし、とにかく私はふんだんにいりこだしを摂取して育ってきたのだった。そういうことを自分で取ったいりこだしに再会するまですっかり忘れていた。

今、だいたいこういう感じでだし取ってる。

いりこは瀬戸内海産の大羽のもの。頭とはらわたは取った状態でジップロックに入れて冷蔵保存してる。

昆布は羅臼昆布の耳を使う。大きくて立派なのは結納とか贈答品に使われるからバカ高いけど、その切り落とし部分の「耳」は安いし味もそんなに変わらないと思う。日高は昆布の匂いが強いけど、羅臼は濃厚な旨みに特化してるので羅臼のほうが好み。

厚手のお鍋に2リットルのお湯を沸かして、いりこ5匹ぐらい入れる、3分かそれぐらい煮立てて、火を止めたら昆布を入れてフタ閉めて放置。冷めたら冷蔵庫に保存。

昆布はもともとは、あらかじめ水に浸しておいて柔らかくなってから火にかけて沸騰前に取り出してたけど、低温長時間のほうがいいだしが出るということなので試験的にこういう手順にしてる。

いりこだしを煮立てると実家の匂いがする。この匂いの中で育ってきたって感じがする。30歳すぎるぐらいまで私はそれを必要としなかったし、むしろ避けてた。今だって出来合いのものや外食が続いても飢餓感はない。でも、年寄りが子どもの時の思い出のあの味を追い求めるというのは料理漫画ではよくある話で、実際にそうなってから追い求めても辿り着くのは難しいかもしれない。だから、自分がまだ覚えていて自力でそこに辿り着けたのはよかったと思う。回帰する味があるのは安心感がある。

*1:今はそういうお店あんまりないので、説明してもわかってもらいづらい。京都の商店街にはまだ残ってるけど