汎インターネットピクニック日記

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「魂はお互ひに結び合され、それから逃れ得ない。」

暁の女王と精霊の王の物語 (角川文庫)

暁の女王と精霊の王の物語 (角川文庫)


本棚を整理してたら、古い角川クラシックスが何冊か出てきたので読んでた。「狂気の詩人」と言われたネルヴァルだけど、このお話自体はそこまで狂気という感じではない。少なくとも現代では。

シバの女王バルキスとソロモン王」という副題については、読み終わってみるとすごい皮肉。この話の主人公は棟梁アドニラムに他ならないし、本当の「精霊の王」とはまさに彼なのだから。

最初に読んだ大学生のころよりも、ある程度社会経験を積んだ今になって読むとはるかに心に響くものがあった。こんなお話だったのかとあらためて思った。とても悲しくファンタジックな話だけれども、実はそれはいつでもそこにある現実に近い。非常に普遍的。

他人におすすめするかというと、お話として何かスペクタクルがあるわけでもなく、正直読みづらいので、あまりおすすめはできない。夏の夕方にすごく美味しくて切ない味の飲み物を飲むような感じだった。旧仮名遣いで言葉遣いもいちいち古めかしいんだけど、それに独特の味があるという、嗜好品的な一冊。

あと、作中にソロモン王がシバの女王を奸計によって嵌める箇所があるんですが、その描写が非常にいやらしくてよかったです。詩人の書く小説ってだいたい色彩とか匂いとかが伝わってくるような描写だから好きなのが多い気がする。